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ギァスは木曜深夜放送視聴。 ネタバレへの配慮はほぼないです。 版権元とは一切関係ありません。 禁無断転載転用。禁オンラインブックマーク ルルーシュ受けメイン。 ルルーシュ至上主義者。
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1989/09/30
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ルルーシュ総受け派のルルーシュ至上主義者です。
スザルル信仰者ですが、他も大好物。
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必ず閲覧前に「蒼の騎士を読む前に」をご覧下さい。

少々遅れましたが、【蒼の騎士】第3話です!!
今回はズバリ☆「オレンジ事k・・・失礼しました。「枢木スザク強奪事件」の回ですv
ヒロインはあまり活躍してませんけどね;;ここはまだまだ序章なので(ぇ
まずは足場固めからです!副題は「カレンとの出会い」というところでしょうかv
あ、ヒロイン以上に活躍していないのはスザクですけどね!(をい)
一言も台詞出てませんからぁvvあははh(殴)
ちなみに、ちょこっとだけ補足ですが、最後の文はヒロインの心の声みたいなものですv

用語解説
※暗部・・・【蒼の騎士を読む前に】の用語解説参照。




その日の夜、状況は思わぬ速さで動き出していた。

「クロヴィス殿下殺害の犯人は、元イレヴンの名誉ブリタニア人、枢木スザクです!」

時刻は夜の9時、テレビは延々とクロヴィス殺害の犯人とされている枢木スザクの
映像を放送している。アオイはクラブハウス内にあるルルーシュの部屋で、
その映像をのんびりと眺めていた。とは言っても真犯人が目の前にいるのだから、
情報取得のために見ているのではなく、まさに「眺めて」いただけだった。

「それで?真犯人様としてはこのまま放っておくわけにもいかないんじゃない?」

「ああ、スザクを助ける。そして……俺の力を示す」

世界にかジェレミアにかレジスタンスにか…あるいはその全てか。
主語は曖昧だが、ルルーシュの瞳には決意が宿っていた。
やり遂げるつもりなのだろう。スザクを助け、見事軍から逃れる作戦を。
ルルーシュはグッと拳を握り締め、不敵に笑う。

「まずはレジスタンスを味方につける…そうだな。2名ぐらいいれば十分。
スザクが捕まったのは予想外だったが……『ゼロ』を世間に知らしめるいい機会だ。」

「…それで?私は?」

「今回ソフィアは必要ない。が、万が一のために近くのビルで待機だ」

「了解」

必要ないのであれば詳しく作戦を聞く必要はないとばかりに、
ソフィアは寝転がっていたソファから起き上がると、早々に帰るべく窓から身を乗り出す。
が、しかしそこで”ソフィア”と声をかけられ、背後を振り返った。

「顔を隠すのを忘れるなよ…それと、お前のコードネームはどうする?」

「……私の?」

「ソフィアにはゼロの右腕として、正体不明のままに動いてもらうと言ったはずだが?」

「ああ…なるほどね。そのための偽名ってわけ」

ブリタニアに無を齎すゼロの傍らに立つ存在としての名、
しかしそれ以上に”ルルーシュ”を支える存在でなければならない。
暫らく考えた後、アオイは良いことを考え付いたと笑って、応えた。

「そうね…『アオイ』」

「『アオイ』?」

「そう、私の元の世界での名前よ」

”ルルーシュ”の傍らに立つのが偽りの”ソフィア”ならば、
偽りの”ゼロ”の傍らに立つのは真実の”アオイ”で、そう考えた結果だった。
果たして、そんなアオイの思いがルルーシュに伝わったのかは分からないが、
なるほど…と呟いてから、彼は満足そうに笑った。

「ふぅん。いい名前じゃないか。葵…俺は嫌いじゃない」

その言葉にニッコリと笑ってから、今度こそアオイは窓の外に身を躍らせた。
ルルーシュの言葉に、少しだけ胸が疼いたのには気付かないフリをして。
そのときアオイの心に芽生えたものがなんだったのか、その時は本人でさえも気付かなかった。
しかしそれは確実に彼女の心に根付き、成長していく、気付かないうちに大きく、強く。
その成長が行き着く先もまた、誰も知らないことだった。

 

 


次の日。アオイはルルーシュの指示通り、軍事法廷へと向かう護送車が通るだろう
道のすぐ傍にあるビルの屋上に立っていた。今のアオイの姿はいつもの
学生服でも、令嬢としての服でもなく、元の世界で着ていた暗部服と暗部面、
それに忍刀を装備しており、その表情は仮面に阻まれて窺うことはできない。
更に、ビルや街灯の明かりでさえも地上と違い、その輝きも屋上までは届かず、
それがまたアオイの姿を闇夜に溶け込ませていた。

「そろそろかな…」

アオイが呟くと同時に民衆がザワリと騒ぎ出した。
枢木スザクを乗せた護送車が沿道に現れたのだ。
口々に枢木スザクへと罵詈雑言を吐きかけている。
ここからアオイに出番はない。ただゼロが現れるのを待つだけだ。
暫くしてふと、アオイは遠くから響くエンジン音を捉えた。
ゼロとカレンの乗る偽クロヴィスの偽御料車だろう。

「私たちを全力で見逃せ!!・・・そっちの男もだ!!」

「ふんっ!いいだろう…この男をくれてやれ!!」

「ジェレミア卿!今なんと!?」

忍びとして鍛えた聴力で、アオイは正確に会話を拾う。
どうやらジェレミアは計画通りギアスにかかったようだ。
カレンはほっと胸を撫で下ろしていることだろう。
否、もしかすると民衆たちと同じように驚いているかもしれない。
ここまで来れば作戦は成功したも同然であった。

「さて…逃走の手伝いぐらいはしようかな」

アオイはゆっくりとゼロたちの脱出予定ポイントである場所の真上まで静かに移動する。
どうやら誰もアオイの存在には気付いていないようだ。
あまりに突然の出来事に上など見る余裕もないのだろう。

「では、話は後だ」

ゼロがそう言うと同時に手元のスイッチを押し、
毒ガス兵器(だと思われている物)から紫色の煙が噴出す。
それは瞬く間に周囲を煙幕のように覆い、3人の姿を隠した。

「きゃぁあああ!!」

「な、何だ!?一体何が起こったんだ!?」

集まっていた民衆はあっという間にパニックに陥った。
誰もが我先に逃げようとして道を塞ぎ、ナイトメアに乗っていなかった軍人たちは
前へ進めず右往左往している。もちろん紫の煙はフェイクだ。
その隙にゼロとカレンは橋から飛び降りた。アオイもそれに合わせるようにして飛び降りる。
下には予定通り扇がクッションの布を広げていた。全てがゼロの計算通りである。

「アオイか」

「ええ。何か手伝えるかと思って」

「じゃぁ枢木を担いで走れるか?」

「軽いわ」

ゼロからヒョイとスザクを受け取ると、その華奢な身体からは
想像もつかないような力で軽々と肩に担ぎ上げ、
不安定さからかもがくスザクを押さえ込み、
そしてそのままジェレミアが”全力”で見逃している間に
その場から3人(と担がれた1人)は逃走した。

 

 


ゼロとスザクが奥で話し合いをしている間、レジスタンスのメンバーとアオイは
気まずい空気の中、何とも言えない沈黙を保っていた。
話しかけて場を緩めようにも、アオイのその姿の異様さがそれを許さない。
永遠に続くかと思われたそれはしかし、予想に反してあっさりと終わりを告げた。

「結局、アナタは誰なの?」

アオイは唐突に投げかけられた疑問の声にゆっくりと
その人物を振り返った。カレン・シュタットフェルト――アオイと同じクラスの女生徒である。
向こうはアオイの正体など知るはずもなかったが。

「……誰、とは?」

十二分に予想の範囲内の質問に、ゆっくりと一拍間をとった後、アオイは意識して
声色を変え、高めの男の声にも低めの女の声にも聞こえるような声を出す。
アオイは背も女にしては高い方なので男女の判別はできないだろう。
胸も暗部の防具と外套に阻まれてよく分からないはずだ。
ゼロと同じ、もしくはそれ以上に謎の存在であるアオイに
カレン以外のメンバーも興味津々の目を向けていた。

「アナタはゼロの仲間なの?」

「そうだな…私はゼロの協力者だ。名は『アオイ』」

「……アオイ?」

カレンが与えられた情報を確かめるように繰り返したちょうどそのとき、
スザクとの話し合いが終わったのだろう、ゼロが奥から出てきた。
が一緒にいたはずの枢木スザクはいなかった。

「……枢木スザクは?」

「アイツは馬鹿だ!自ら軍事法廷に戻った!死ぬと分かっていながらな!!」

不機嫌な様子のゼロにアオイはなるほどと納得した。
ゼロは当然スザクが自分の手を取ると思っていたのだろう。
こればかりはゼロの計算外といったところだ。

「……アオイ。帰るぞ」

「…了解」

そのまま呆然と状況に追いつけないレジスタンスたちを
気にかけることなく、アオイとゼロはその場を足早に後にした。

「夢でも見てたのかな・・・私」

カレンがポツリと零した言葉は、正しくその場に残った者全員の心の声だった。



夢物語は・・・いらない。必要なのは確かな結果だけなのだから

 


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