今は昔、自ら神たらんとした一族があった。
一族はその血脈に神の力を宿すことに成功し、次第に栄華を極めていく。
しかし、強すぎる力、歪んだ血は災いを招き、破滅を招く。
「どうして!どうして生まれてきたの!?アナタが生まれてこなければっ!!」
「違う!私じゃない!私じゃないんだ!!」
「か…ぁ……さま」
「昔…昔々の話をしようか―――――」
「いやっ!私は男になんてなりたくないっ!誰か助けて!
助けて母さま、姉さま!いやぁあああああ!!!!」
「ルルーシュ…かわいそうに。兄様が慰めてあげよう……」
「お前は生まれてくるべきではなかった!禁忌の子!私と―――兄様の子!!」
「うふふ。姉さま!大好きですわ!さぁ私と契りを…そしてより濃い血の子を!」
「呪われろ!呪われろ!お前たち皆!ブリタニア一族、帝国の者ども全て呪われろ!」
「何だこれは!?おかしい!この家系図は異常だ!」
「俺は【神狂い】と呼ばれたランペルージ一族の末裔だ」
「これから母様は貴女に酷いことをするかもしれない。でも、それは全て愛情なの」
「ゼロ・ランペルージは俺の伯父であり…父親だ」
「ブリタニアは世界の覇者となる!神として未来永劫君臨するのだ」
「ナナリー…私が――俺がお前を楽にしてあげるから」
「貴女は何も悲しんだり、辛く思う必要はないのよ…ルルーシュ」
「馬鹿な男だ……人が神となることなど、できはしないというのに」
「ルルーシュ…君は、一体?」
「シュナイゼル、コーネリア。よく見ておくが良い。これが【神の力】だ」
「私は悪くないわ!何も悪くない!!ただ―――!!」
「では…計画は予定通りに」
「そっと隙間から覗いた母上の部屋、絡み合う肢体……交わされる密談、おぞましい宴。」
「ずっと、君の傍にいるよ。約束する」
「お姉さま!私スザクが欲しいですわ!!」
「さぁ…ルルーシュ。その力を解放せよ」
「俺のギアスは命令する力…すなわち、他者から全てを【奪う】力だ」
「汝、ここに誓いを立て、ブリタニアの騎士として戦うことを望むか?」
「スザクも!スザクさえも俺から奪おうというのか!?」
「歪んでいるな…世界の全てが」
「覚えて…いない?」
「これが神の力…全てを蹂躙する力か!」
「こんな世界など 滅 び て し ま え 」
どこかで狂った歯車を修正しようと奔走する者、
自ら狂いを作り出そうとする者、助長させる者、傍観する者、
運命は急速に加速し、坂道を転がり落ちていく。悲しみが怒りを呼び、
怒りが憎しみを呼び、憎しみが悲劇を呼ぶ。断ち切れぬ憎しみの連鎖。
一族が神を宿して数百年後、惨劇の幕が上がる……――――――――